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ゴールデンレトリバーのリンパ腫と環境汚染との関連性を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

猫のリンパ腫の発生はそのオーナーの喫煙に関連していると言われている。その確率は実に、非喫煙者がオーナーである場合の2.4倍以上。これは、同腫瘍が命を奪う悪性度を示すことを考えると、非常に高い確率である。と、ここで疑問が浮かぶ。犬のリンパ腫は、喫煙(広く表現すると環境汚染)と何らかの関係性を有しているのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、アメリカの大学および動物財団らは、ゴールデン・レトリバー49匹を対象にして、彼らに多い腫瘍の第2位にあたるリンパ腫と、喫煙を含めた環境汚染との関連性を調べる研究を行った。なお、本研究におけるリンパ腫には、皮膚に発生したものが含まれていない。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆ゴールデンレトリバーのリンパ腫と環境汚染との関連性◆
・汚染源として各種工場、鉄道、埋め立て地、ゴミ処理場、高圧送電線、発電所(原子力)が候補に挙がった
・全症例(多中心型、B細胞性、T細胞性)を纏めて解析すると統計学的な有意差は認められなかった
・「汚染源が3つ以上近隣にあること」で多中心型は発生しやすい傾向があった(有意とは言えないがp=0.053である)

 

上記のことから、環境汚染とゴールデン・レトリバーの多中心型リンパ腫の発生には「極めて有意に近い」関係性があることが窺える。よって、今後、汚染の無い環境に引っ越したゴールデン・レトリバーを対象したリンパ腫の有病率の算出が行われ、真偽の程が明確になり、腫瘍学が発展することを期待している。

B細胞性およびT細胞性にも何らかのパターンがあるような結果だったようですが、更なる研究が必要とのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35841115/


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