ニュース

ラブラドールレトリーバー3兄弟のうち2匹に起きた椎間板炎の原因

投稿者:武井 昭紘

1匹のラブラドール レトリーバーが頚部に痛みを訴え、元気が消失し、旋回と捻転斜頸を呈した。そして、MRI検査でC6-C7の椎間板に炎症が起きていること、血液培養でBrucella canisに感染していることが判明した。そのため、ドキシサイクリンとマルボフロキサシンによる治療が適応された。期間は実に1年。診断から2年の時を要して、本症例は回復した。

念のためか、この症例の同腹仔にもBrucella canisの感染をチェックする検査が適応された。結果は、陽性。幸い無症候性であったが、ドキシサイクリンとマルボフロキサシンで6ヶ月の加療。その後、残念ながらフォローアップが不可能となった。

彼らには、もう1匹の兄弟が居た。最初の症例のオーナーが存在を突き止めた、この個体は生後18ヶ月の時点で、6ヶ月にも及ぶ腰痛に悩んでいることが発覚した。加えて、画像診断にて頚部、胸部、腰部の椎間板に炎症を抱えていることが確認された。例に漏れず、Brucella canisの検査で陽性であった。エンロフロキサシンを7ヶ月投与されて、治癒の経過を辿った。

 

『犬のBrucella canis感染症は珍しくないが、3兄弟のうち2匹が椎間板炎を発症したことは興味深い。』

症例を発表したアメリカの獣医科大学は、このように述べる。果たして、神経系トラブル(椎間板炎)に苦しむ犬がBrucella canisに感染し、同腹仔が居る場合、その同腹仔にBrucella canisの検査を薦める必要性はどれ程なのか。今後、そのリスクを検証する研究が進み、感染症の診断技術が向上することに期待している。

実施された検査の種類につきましては、リンク先の論文をご参照下さい。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2022.958390/full


コメントする