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去勢手術を受けた猫にコリンが強化されたフードを給与した研究

投稿者:武井 昭紘

去勢・不妊手術は、犬や猫が肥満に陥る一般的なキッカケとして知られている。一方、話は変わるが、細胞(細胞膜)を構成する一つの成分である「コリン」は家畜の成長(筋肉の形成)に有益な効果を齎すとされている。つまり、纏めると、コリンを犬猫に給与することで筋肉が発達し、去勢・不妊手術後の肥満が予防できるという仮説が立てられるのだ。

 

そこで、ゲルフ大学は15匹の子猫(オス)を対象にして、コリンの効果を検証する研究を行った。なお、同研究では、1日当たりのエネルギー要求量(daily energy requirements、DER)を基に給与量が決定され、且つ、一定のコリン(3310mg/kg [DM])が含まれる基本のフードを11週間全ての子猫に与え、その後去勢手術を実施したのちは、彼らを①体重に合せて更にコリンを追加したフードを12週間与えるグループと②基本のフードを12週間与えるグループに分ける形式が採用されている。また、二重エネルギーX線吸収測定法(dual energy x-ray absorptiometry、DXA)によって子猫たちの体組成が計測されている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆去勢手術を受けた猫に対するコリンの効果◆
・②に比べて①では1日に摂取する食餌量が少なかった
・②に比べて①では体重の増加率が低かった
・時間の経過とともに両群で筋肉や脂肪組織が増加した
・しかし②に比べて①で組織の総量と脂肪組織の増加は緩やかだった
・エネルギー消費量は②では低下したが、①では変化しなかった(呼吸商も影響を受けなかった)

 

上記のことから、コリンを強化したフードは、去勢手術を受けた子猫の肥満を防止する効果を有していると考えられる。よって今後、本研究を基にして去勢手術後に使用する猫の準療法食を開発する研究が進み、彼らの肥満、引いては、肥満から生じる様々な病気を予防する食餌管理が実現することに期待している。

DERの3倍のエネルギーが摂取できるようにフードの量を調整したとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35298484/


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