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呼吸困難で救急外来を訪れた猫の乳酸に関連した指標の臨床的意義

投稿者:武井 昭紘

様々な研究によって、血漿中乳酸濃度と犬の体調・病状との関連性が明らかとなっている。つまり、体調が悪く病状が重い犬の血漿中乳酸濃度は高くなっていると言われているのだ。では、猫においては、乳酸に纏わる数値は一体どうなっているのだろうか。犬と同じなのか、あるいは。

冒頭のような背景の中、アメリカの大学らは、呼吸困難を呈して高次診療施設(大学)を訪れた猫70匹以上を対象にして、乳酸に着目しつつ彼らの診療記録を解析する研究を行った。すると、血漿中乳酸濃度は生存率、入院期間、バイタルサイン、基礎疾患と関連していない一方で、乳酸クリアランス(特定の2つの時間における血漿中乳酸濃度から算出される乳酸の排出割合)は生存率および入院期間と有意に関連していることが判明したという。

上記のことから、乳酸クリアランスは、呼吸困難を呈する猫の予後を左右していることが窺える。よって、今後、呼吸困難を原因別(呼吸器や循環器など)に分類し、それぞれの症例群の経過と乳酸クリアランスを比較する研究が進み、乳酸に纏わる数値を用いた予後判定方法が確立することに期待している。

血漿中乳酸濃度が1%上昇すると入院期間は11.4分長くなることも確認されたようですが、大学らは、これに臨床的意義は無いと報告しております。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2022.918029/full


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