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低形成が疑われた短頭種と他犬種の気管に纏わる測定値を比較した研究

投稿者:武井 昭紘

呼吸器にトラブルを抱えている犬の診察では、感染症に異物は勿論のこと、呼吸に纏わる様々な臓器・組織の構造的な異常の有無をチェックする必要がある。その中でも、気管の低形成は、短頭種を始めとする一部の犬種で認められる重要な所見とされている。では実際のところ、その低形成を客観的に示す指標とは何であろうか。

冒頭のような背景の中、ヨーロッパの大学らは、気管の低形成が疑われる犬180匹以上の「気管に纏わる測定値」を比較する研究を行った。なお、「気管に纏わる測定値」とは、X線画像(吻尾方向とラテラル)から得られる①頚部気管の直径、②胸郭前口の幅、③胸部気管の直径、④第3肋骨の幅で、これらのデータから①:②、③:④という比を算出したものである。すると、ブルドッグなどの短頭種の数値は、他の犬種と比べて有意に小さくなることが判明したという(体重での補正あり)。また、これらの数値を4名の観察者によって算出したが、その値に有意差は認められなかったとのことである。

上記のことから、他の犬種と比べて短頭種の気管は小さく、いわゆる低形成の状態にあることが窺える。よって、今後、この低形成と短頭種気道症候群との関連性を突き詰める研究が進み、当該品種の繁殖計画の見直しが検討されることに期待している。

本研究では、35匹が気管低形成と診断されております。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36057869/


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