犬猫もそうなのだが、とりわけウサギは飼育環境の不備によって様々な病気を発症する。そのため、ウサギの診察では、飼育環境に関する問診を実施することが非常に重要なのだ。そこで、疑問が浮かぶ。この問診をより慎重に進めなければならないオーナーには特徴があるのだろうか。それを明らかにすることは、ウサギの福祉を向上し、彼らの健康を守る上で大切なことである。
冒頭のような背景の中、リバプール大学らは、イギリスのチャリティ団体PDSA(People’s Dispensary for Sick Animals)が公開し過去3年分のレポートを参照し、同国で暮らすウサギのオーナー1300名以上のデータを解析する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。
◆ウサギの飼育環境を悪化させるオーナー側の要因◆
・約31%のウサギの飼育環境に不備があった
・半数を超えるウサギが単独飼育であった(イギリスで2匹で飼育することが推奨されている)
・女性よりも男性のオーナーが提供する飼育環境に不備が目立った(約1.8倍)
・55歳以上よりも25~34歳のオーナーが提供する飼育環境に不備が目立った(約2.1倍)
・平均以上の年収があるオーナーと比べて平均よりも少ない年収のオーナーが提供する飼育環境に不備が目立った(約1.4倍)
上記のことから、男性、若者に区分される年齢のヒト、経済的余裕が無いヒトがオーナーの場合に不備が生じやすいことが窺える。よって、これらの条件に当て嵌まるオーナーからは、より慎重にウサギの飼育環境について聴き取る必要があるものと思われる。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35661365/