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イブプロフェンを誤飲した猫に起きた急性腎不全とタンパク尿

投稿者:武井 昭紘

13ヶ月齢の猫の兄弟2匹(去勢オス)が、急性腎障害を起こした。BUNとCREは上昇し、UPCは20を超える重症だ。3日前、彼らは、消炎鎮痛剤として有名なイブプロフェンを誤食していた。

尿から検出されたタンパク質を電気泳動で解析する。それは、アルブミンと糸球体タンパクで構成されていた。直ちに、入院加療となった。5日後、即ち誤食から8日後、異常所見は完全に解消された。必要とした治療は支持療法のみで済んだという。

症例を発表した欧米の大学らは、『イブプロフェン中毒によって糸球体に障害を生じてタンパク質を喪失した猫の例は初めてである』と述べる。しかし、人体薬、特に消炎鎮痛剤による中毒を起こす犬猫は多いとする研究が報告されている現状がある。つまり、今後も同様の症例に獣医師が遭遇する可能性は充分にあるのだ。よって、突如としてタンパク尿が検出された症例では、消炎鎮痛剤の中毒を鑑別リストに加えることをお薦めする。

UPCは0.11まで低下したとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35756855/


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