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犬の去勢手術を決断した理由と手術の効果を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

過剰な繁殖を防ぐ、攻撃的な性格を抑える、マーキングの頻度を減らす、病気を予防する。愛犬の去勢手術を決断するオーナーが期待する効果は千差万別である。しかし、全てのオーナーが「その効果」を享受できるとは限らない。果たして、裏切られる可能性が低い期待とは一体何であろうか。それを明らかにすることは、犬の去勢手術を正しく理解する上で重要なことである。

 

冒頭のような背景の中、ポーランドの大学は犬をテーマにしたSNSグループに属するヒトを対象にして、愛犬の去勢手術を決断した理由と手術の効果をオンライン上で調べる研究を行った。すると、380名以上から回答を得て、以下に示す事項が明らかになったという。

◆去勢手術を決断した理由と手術の効果◆
・主な理由はオーナーが希望しない行動の抑制であった(39%)
・その行動とは過活動、徘徊、マウンティング、攻撃性行動、マーキングなどであった
・去勢手術は過活動、徘徊、マウンティング、マーキングの頻度を大幅に減らした
・去勢手術にはヒトに対する攻撃性を抑える効果はなかった
・一方で犬などの動物に対する攻撃性を抑える効果はあった
・また不安が起因となっている行動も抑えることができなかった
・しかし「隠れようとする行動」は抑えることができた

 

上記のことから、犬の去勢手術は、①ヒトに対する攻撃性行動や②不安が根本にある行動を制御できないことが窺える。また、③過活動、④徘徊、⑤マウンティング、⑥マーキングには一定の効果を発揮すると考えられる。よって、愛犬の①②に悩むオーナーにはしつけ教室や行動療法を、③~⑥に悩むオーナーには去勢手術を提案することが望ましいと思われる。

犬の不妊手術についも、同様の調査が進むことを期待します。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35892533/


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