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手術を受けていない肝外門脈シャントの犬の治療法に関する研究

投稿者:武井 昭紘

無論、手術を受けることが最も重要な治療だと言えるだろが、その手術を検討している肝外門脈シャントの犬に提示できる治療の選択肢は様々である。①肝臓機能をサポートする療法食、②ラクツロースに③抗生剤。果たして、症例の状態を安定させる最適な治療法とは何であろうか。何と何を組み合わせることが理想なのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、ベルギーのゲント大学は、先天性肝外門脈体循環シャント(congenital extrahepatic portosystemic shunts、cEHPSS)と診断された犬30匹以上を対象にして、①~③を組み合わせた治療を施し、彼らの臨床スコアと血液性状を解析する研究を行った。なお、同研究では、空腹時のアンモニア(fasting ammonia、FA)およびC反応性タンパク質(CRP)の濃度が測定されたいる。すると、加療4週間後において、①+②のグループにて臨床スコアが減少するも、①+③のグループでは改善が認められないことが判明したという。また、①+②に③を追加したグループでも、メトロニダゾールの効果を実感することはできなかったとのことである。一方、FAとCRPは臨床スコアと軽度~中程度の相関を示し、時間経過とともに減少していくことが確認できたようだ。

 

上記のことから、①+②による治療にcEHPSSの犬の状態を安定させる効果があり、メトロニダゾールに「それ」は無いことが窺える。よって、cEHPSS症例を担当する獣医師は、オーナーが手術を決断するまでの間、①+②による治療は提案することが望ましいと思われる。

臨床スコアの算出方法につきましては、リンク先の論文をご参照下さい。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35633289/


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