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猫の認知機能不全の特徴とリスクファクターを調べた統計学的研究

投稿者:武井 昭紘

ペットの高齢化が進む現代において、心配するべき病気というものがある。それは、腫瘍に勝るとも劣らない程にオーナーのQOLを悪化させることがある認知機能不全だ。当該疾患は犬において特に注目され、様々な研究が報告されている。しかし、犬と同じくヒトと親密な関係にある猫も認知機能不全(feline cognitive dysfunction、FCD)に陥る。では果たして、FCDの特徴とは何であろうか。また、FCDを発症するリスクファクターとは何であろうか。診断、治療、予防の側面から、それらを明らかにして対策を講じることが重要だと考えられる。

 

冒頭のような背景の中、コロラド州立大学は5年間に渡って、大学付属動物病院を訪れた猫のオーナーに「FCDに関する問診票」を配布し、その回答を解析する研究を行った。すると、4300件を超えるデータが集積され、以下に示す事項が明らかになったという。

◆FCDの特徴とリスクファクター◆
・有効回答率は約14%(600件強)であった
・そのうち13%がFCDと診断できた
・また約19%がFCDではないと判断できた
・最も一般的なFCDの症状は「過剰に鳴く」であった(FCD症例の40%)
・農村地帯で飼育される猫の有病率は有意に低かった

 

上記のことから、「過剰に鳴く」という行動を抑えることが、オーナーのQOLを改善するポイントであると思われる。また、農村地帯に有るもの、または、無いものが、FCDの発症に関与していることが窺える。よって、今後、農村地帯と都市部における猫の飼育環境の相違点を明らかにする研究が進み、リスクファクターが詳細に分析され、それに応じた治療法・予防法の考案がなされることに期待している。

「FCDに関する問診票」は、犬の認知機能不全に関する問診票を参考に作成されたとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35536055/


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