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交配から69日目にして分娩の兆候が認められなかったラフ・コリー

投稿者:武井 昭紘

交配から69日。約2ヶ月とされる妊娠期間を既に越えても分娩の兆候がないラフ・コリーが、オランダのユトレヒト大学を訪れた。排卵のタイミングを窺うようにして2日連続の交配をし、その30日後の超音波検査では生きている胎児が確認できたという。しかし、未だに破水や巣作り行動が認められなかった。果して、彼女の身に何が起こったのだろうか。そして、胎児は無事なのだろうか。

彼女の様子から、臨床上健康に見えた。しかし、破水もなければ、子宮頸管の拡張もなく、腹部の触診では子宮が拡大しているようで固い腫瘤の存在が示唆された。膣および前庭には黄色透明の液体が認められるも、明らかな異常はなかった。超音波検査を実施する。羊水の量に異常はなかったが、胎児が動く様子もなかった。繁殖能力を残したいというオーナーの希望により、プロゲステロン受容体拮抗薬とPGF2αが投与された。まず、強い臭いを放つ濃緑色の液体が排出され、1匹目、そして2、3匹目と胎児が生れた。残念ながら、ミイラ化していたという。

 

『ミイラ化した胎児を抱え、分娩の適期を1週間過ぎた犬の内科的管理に関する最初の報告である』と、同大学は述べる。また、これは、ブリーダーにとって重要な選択肢の一つになるだろうと強調する。よって、今後、この内科的管理が適応できる症例と外科手術をすべき症例を判別するアルゴリズムが作成され、犬の産科診療にオーナーの希望がより強く反映される未来が訪れることを期待している。

胎児を排出した症例には、その後、オキシトシンが投与されたとのことです。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2022.888807/full


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