出生時体重は、新生仔の初期パラメータの一つで、子猫の時期は勿論のこと成猫になった時の健康状態を示唆する重要な指標となっている。故に、彼らの健全な成長を見守る上で、この体重を左右するファクターを把握することは大切だと言える。では果たして、そのファクターとは一体何であろうか。
冒頭のような背景の中、フランスの大学およびロイヤルカナン社は国内のブリーダー130名以上に協力を仰ぎ、15品種3500匹を超える子猫のデータを解析する研究を行った。なお、同研究では、品種、同腹仔の数と死産の有無、季節、母猫の年齢、子猫の性別などと、出生時体重との関連性が調べられており、以下に示す事項が明らかになったという。
◆子猫の出生時体重を左右するファクター◆
・最も大きなファクターは品種であった(全体の25%を占める)
・他のパラメータは3%未満を占めていた
・母猫の年齢が高い程、出生時体重が増加した
・メスよりもオスの新生仔の方が出生時体重が重かった
・死産がある分娩よりも「ない」分娩の方が出生時体重が重かった
・夏と秋は出生時体重が軽かった
・同腹仔が多い程、出生時体重が減少した
上記のことから、夏と秋の分娩、同腹仔が多い分娩では、および、死産の発生に伴って出生時体重が減少することが窺える。また、品種による出生時体重の変動が大きいことが分かる。よって、この体重が軽くなる、即ち、その後の成長が心配になる条件の分娩では、新生仔の体重と「その後の成長」を注意深く観察することが重要だと考えられる。よって、今後、注意深く観察するべき新生仔が求めるケアについて探求され、猫の繁殖学と小児科診療が進化を遂げることに期待している。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35914349/