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肝細胞癌と非腫瘍性の肝臓病変を区別するマーカーの開発に関する研究

投稿者:武井 昭紘

画像診断の結果、肝臓に腫瘤が確認された。良性か悪性か、はたまた腫瘍ではないのか。それが問題だ。特に原発性腫瘍(肝細胞癌)が心配である。腫瘍なのか、腫瘍ではないのか。両者を区別する方法は何かないものか。

 

冒頭のような背景の中、韓国の建国大学校は、犬の肝臓組織(①非腫瘍性組織40サンプル、②癌組織32サンプル、③癌に移行するかも知れない組織11サンプル)を用いて、以下に示すマーカーの発現を調べる研究を行った。

◆本研究で採用されたマーカー◆
・アルギナーゼ-1
・P糖タンパク質
・サイトケラチン19(上皮細胞に発現している、)

すると、①③に比べて②ではアルギナーゼ-1とP糖タンパク質が有意にダウンレギュレーション(発現レベルが低下)しており、何れの組織でもサイトケラチン19は殆ど検出されないこと(②および③のそれぞれ1サンプルから検出)が判明したという。

 

上記のことから、アルギナーゼ-1とP糖タンパク質は、肝臓に発見された病変が腫瘍性であるか非腫瘍性であるかを判定する有用なマーカーになり得ると考えられる。よって、今後、これらのマーカーを用いた診断法の精度を算出する研究が進むとともに、同マーカーの商業化が計画されることに期待したい。

サイトケラチン19は一部の上皮細胞に発現しており、扁平上皮癌や肺腺癌を発症したヒトの血液中に放出される物質として知られております。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34423599/


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