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鼻腔内にメラノーマが発生した猫に電気化学療法を適応した1例

投稿者:武井 昭紘

僅か2週間で5mmから7mmへ。鼻腔内に直径7mmのメラノーマを抱えた猫が、ロンドンの南ブレッチングリーに位置する動物病院を訪れた。メラノーマは浸潤性が強く、転移する可能性もある。故に、出来得る限りの充分なマージンを設定して切除するしかない。いや、オーナーとの相談で、侵襲度が大きく外観も変わってしまう外科手術は避けることになった。どうしたものか—–。

 

結局、本症例には、電気化学療法が適応された。放射線療法では再発して安楽死させられた症例の報告があり、免疫療法はあくまでも外科手術の補助ツールと考えられたためだ。また、猫の鼻腔内に発生した扁平上皮癌に対する電気化学療法の有用性と安全性を示した研究が後押しになったという。選択された抗癌剤はブレオマイシン。2週間間隔で2回繰り返された電気化学療法によって、本症例は寛解した。以降292日(約9ヶ月)もの間、再発は認められなかった。口腔、口唇、鼻にメラノーマを発症した猫の生存期間は、83日(中央値)。今回紹介した症例は、その3倍以上の生存期間を誇る。

 

『猫の鼻腔内に発生したメラノーマに電気化学療法は有用である。』

症例を報告した同院は、このように述べる。腫瘍の治療をしたいと願うも、顔の外観が変貌してしまうことを悩む猫のオーナーは、どれほど存在しているのか。電気化学療法が、彼らとその愛猫に希望の光を届けることを期待している。

2回目の電気化学療法から3週間以内にて、病変部は確認できなくなったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35173972/


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