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短頭種に該当しない小型犬の気管内径の評価に用いる指数を検討した研究

投稿者:武井 昭紘

気管低形成や気管虚脱に伴って気管が狭窄する病的現象は、罹患個体に呼吸困難を齎し、彼らの生命を脅かすリスクを孕んでいる。そのため、気管の内径を測定して「そのリスク」を評価する手法が開発されている。しかし、この手法は主に短頭種(特にイングリッシュ・ブルドッグ)に向けられたもので、短頭種以外の小型犬に向けられたものは充分に確立されていないのが現状である。

そこで、カイロ大学(エジプト)およびノースカロライナ州立大学らは、臨床上健康な小型犬80匹以上を対象にして、彼らの気管内径を数値化する研究を行った。なお、同研究では、X線画像(胸部ラテラル)を用いて、①頚部尾側・②胸郭前口・③胸腔内の3点における気管内径(vertical tracheal diameter、VTD)、胸骨柄の長さ(manubrium length、ML)、胸郭前口の長さ(thoracic inlet distance、Ti-D)、第3肋骨近位の幅(proximal 3rd rib width、PR3-W)を測定し、各VTDとMLの比(M-TI)、各VTDとTi-Dの比(Ti-TI)、各VTDとPR3-Wの比(PR3-TS)を算出している。すると、①②③それぞれとMLの比が0.43、0.34、0.38未満となった場合に気管が狭窄している可能性が高いという結果が得られたとのことである。

上記のことから、M-TIは、短頭種以外の小型犬の気管内径を評価するスクリーニング検査になり得ることが窺える。よって、今後、様々な呼吸器疾患の小型犬を対象にしてM-TIを算出する研究が進み、その数値が秘めている検査項目としての価値が精査されることに期待している。

①②③とMLの比のうち、②とMLの比が最小になったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35105371/


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