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ウサギの循環器疾患に関する疫学を明らかにした研究

投稿者:武井 昭紘

犬や猫を対象にした小動物臨床において、循環器疾患の症例に遭遇することは珍しいことではない。では、同じく診療対象となるウサギでは、その状況は一体どのようになっているのだろうか。それを明らかにすることは、ウサギの循環器疾患に関する疫学を深く理解することに繋がるものと思われる。

 

そこで、カリフォルニア大学は、高次診療施設に訪れたウサギ2000匹以上を対象にして、彼らの循環器疾患の臨床的および病理学的所見をデータ化する研究を行った。すると、以下に示す事項が判明したという。

◆ウサギの循環器疾患に関する疫学◆
・循環器疾患の有病率は2.6%であった
・臨床症状として多いものは心雑音、不整脈であった
・X線検査所見として多いものは心肥大、胸水・腹水であった
・エコー検査所見として多いものは弁膜の変性、拡張型心筋症であった
・病理検査所見として多いものは心筋症、心筋炎、動脈硬化症であった
・生存期間は中央値で306日(2~2353日)であった

 

上記のことから、聴診で心雑音、X線検査で心肥大に胸水・腹水を認める場合は、心エコー図検査を実施することが望ましいと言える。よって、該当する身体検査所見を有するウサギに遭遇した獣医師は、循環器疾患の有無を確認する精査について検討して頂けると幸いである。また、生存期間が短い症例(最短2日)の死因を特定する研究が進み、その期間を延ばす治療法が考案されることを期待している。

右心不全、左心不全、両心不全の発生頻度は同程度であったとのことです。

 

参考ページ:

https://avmajournals.avma.org/doi/abs/10.2460/javma.259.7.764


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