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小腸で異物による閉塞が起きた犬に適応した外科手術と術野の裂開に関する研究

投稿者:武井 昭紘

異物を飲み込んで消化管が閉塞した犬を診察する場合、その異物を取り出すべく外科手術の必要性が検討される。そして、この時、想定しておくべきこと(細心の注意を払うべきこと)は、術野の裂開である。では果たして、どのような条件の犬が、あるいは、術式が裂開のリスクを高めるのだろうか。それを明らかにすることは、治療成績を向上する対策を講じる上で大変に重要なことと言える。

 

そこで、コーネル大学は、小腸で異物による閉塞が起きて、且つ、外科手術を受けた犬200匹以上(約10年間分の診療記録)を対象にして、裂開のリスクを高めるファクターを特定する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったとのことである。

◆術野が裂開するリスクを高めるファクター◆
・縫合不全の発生率は約7%であった
・腸切開術と比べて腸吻合術で裂開するリスクが高かった(約6倍)
・ASAスコアが3を超える個体のリスクは術式に関係なく高かった(約4.5倍)
・年齢が1ヶ月齢増えるごとにリスクが1.01~1.02倍高くなる

 

上記のことから、高齢の個体、ASAスコアが高い症例、腸吻合術を適応した症例では、術野が裂開するリスクが高いことが窺える。よって、該当する犬を診察する際は、充分なインフォームド・コンセントを実施し、より慎重な術後管理を実施することが望ましいと思われる。

本研究では、経鼻チューブの設置は術野の裂開と関連していないことも分かっております。

 

参考ページ:

https://avmajournals.avma.org/doi/10.2460/javma.258.12.1378


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