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食後に起きる胆嚢の収縮と血清FGF-19濃度との関連性を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

線維芽細胞増殖因子(fibroblast growth factor、FGF)の一つ、FGF-19は、消化管(腸)に食べ物が入ることで放出される胆汁(胆汁酸塩)、言い換えると胆嚢が空になることによって誘発されるタンパク質である。つまり、この因子は、摂食行動に対する胆嚢の動きを評価するマーカーになり得ると考えられるのだ。

そこで、ルイジアナ州立大学は、臨床上健康な犬10匹(様々な年齢と品種)を対象にして、胆嚢の体積と血清中FGF-19濃度を測定する研究を行った。なお、同研究では、12時間絶食した犬にフードを与え、①絶食時、②食後1時間、③食後3時間の3点において、超音波検査と採血が実施されている。すると、①に比べて②③では血清中FGF-19濃度が有意に上昇し、①に比べて②の時点で胆嚢の体積が有意に減少することが判明したという。

上記のことから、FGF-19は、摂食行動に対する胆嚢の動きを評価する上で有用だと言える。よって、今後、胆嚢疾患症例における血清中FGF-19濃度を測定する研究が進み、犬の腸肝循環のモニタリング方法が確立することを期待している。

血清中FGF-19濃度は、採血直後にサンプルを-80℃で保存した場合と採血後4℃で保存した場合とで異なる値を示すことが分かっているため、保存方法についても議論する必要があるようです。

 

参考ページ:

https://avmajournals.avma.org/doi/abs/10.2460/ajvr.82.8.676


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