循環器、呼吸器、消化器、神経系etc。動物は、様々な臓器・組織の病気を発症する。そのため、各臓器・組織、あるいは、各病気に応じて、多種多様な診断技術が開発されてきたのだ。では実際のところ、それらの診断技術どうしの関連性とは一体どのようになっているのだろうか。効率的でスムーズな診療(検査、診断、治療)を進める上で、その関連性を明らかにすることは非常に重要である。
冒頭のような背景の中、イギリスおよびタイの大学は、呼吸器症状の精査のために高次診療施設を訪れた犬130匹以上を対象にして、彼らの診療記録を解析する研究を行った。
すると、以下に示す事項が明らかになったという。
◆犬の呼吸器の各検査から得られる所見の関連性◆
・91%の症例において①細胞診、88%において②気管支鏡検査、80%において③CT検査、25%において④細菌培養試験で異常が検出された
・③の気管支病変(オッズ比2.6倍)および①で見られた好中球主体の所見(オッズ比4.5倍)は、咳と関連していた
・②で証明された異物の存在は、③の肺硬化病変(オッズ比8倍)および④の陽性結果(オッズ比10.9倍)と関連していた
・③で異常が認められなかった症例の89%で①、77%で②、23%で④から異常所見が得られた
上記のことから、呼吸器症状や各臨床検査所見は関連している場合があることが窺える。よって、咳をしている症例では①③を優先的に検討し、④が陽性の症例では異物の有無を確認することが望ましいと考えられる。また、「例え①②④で異常が認めれてもCT検査で必ずしも異常が検出できないこと」について、充分なインフォームド・コンセントを行うことが大切だと思われる。

X線検査と、臨床症状や①~④の関連性も調べていくと、新たな見解が得られるかも知れません。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35092696/