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タンパク尿を呈する犬が胆嚢粘液嚢腫を抱えるリスクについて調べた研究

投稿者:武井 昭紘

タンパク尿は、犬の体で起きている様々な異変を知らせてくれる大切な所見の一つである。例えば、激しい運動や発熱をしたこと、溶血をしていること、腎臓にトラブルを抱えていること、尿路に炎症・感染があることなどを教えてくれるのだ。そう考えると、タンパク尿は、まだ誰も知らない情報をも伝えようとしているのかも知れないという思いに至ることがある。そして、その未知の領域を探ることは、医学および獣医学が解明するべき課題なのではないかと思慮に耽るのだ。

冒頭のような背景の中,アメリカの大学らが行った研究を見つけた。それによると、犬の胆嚢粘液嚢腫とダンパク尿の関連を調べたとのこと。具体的には、当該疾患に罹患した犬と臨床上健康な同品種(年齢層も一致)を対象に、スティックで測定した①尿中タンパク質濃度(mg/mL)および②尿比重を測定するとともに、①と②の比を算出して、両グループの値を比較したという。その結果、胆嚢粘液嚢腫の犬には、この比が1.5以上の(つまりは尿中タンパク質濃度が高い)個体が有意に多いことが判明したそうだ。

上記のことから、タンパク尿は、胆嚢粘液嚢腫の病態形成に関連していることが窺える。よって、今後、タンパク尿に対する治療によって胆嚢粘液嚢腫が予防できるか否か(あるいは病態の進行を抑えるか否か)を検証する研究が進められ、当該疾患の予防法や治療法がアップデートされていくことに期待している。

本研究では、タンパク尿は、その個体の血液検査所見の異常と有意に関連していなかったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33547696/


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