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コントロールの難しい糖尿病の猫に起きた世界初の病態

投稿者:武井 昭紘

コントロールの難しい糖尿病を抱えた猫(6歳齢の去勢雄)が動物病院を訪れた。3週間に3回の受診。何れの診察でも高血糖が確認され、脱水や軽度のケトン血症の所見もあったという。そして、更に1週間後の再診で、脱毛と紅斑が見付かる。その病変の大きさは3×2cm。これが、予後の悪さを決定的にする前兆だったのかも知れない—–。

 

皮膚疾患がみられてから6日後の再診。それは、6×2.5cmに拡大していた。加えて、呼吸が苦しそうな様子。この日、症例は糖尿病性ケトアシドーシスと診断された。一方で、呼吸のトラブルに繋がる肺や心臓の異常は特定出来なかったという。

その後、入院加療となるも、貧血、肺血栓塞栓症を疑う症状、悪化する皮膚病変を理由に、罹患猫は安楽死となった。剖検により、血管障害を起因とした皮膚の虚血性壊死、および、肺血栓塞栓症という診断が下された。

 

糖尿病に続発する皮膚の血管障害。そして、肺血栓塞栓症。『この病態を示した猫の症例を初めて報告した』とアメリカおよびイギリスの大学らは述べる。果たして、似たような症状を呈する糖尿病の猫は稀なのだろうか。今後、有病率を算出する研究が進み、彼らが発症する糖尿病がより深く理解されていくことに期待している。

本症例は、本文に記した症状以外に、腹部頭側に痛みを訴えていたとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33115690/


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