ニュース

シーズーが抱えている健康問題について調べた研究

投稿者:武井 昭紘

イギリスで飼育されている頭数のTOP10にランクインしているシーズーは、何かと健康問題が頻発する短頭種に分類されている反面、国内に推定30万匹以上おり、犬の飼育頭数全体の3%を占めると言われている。そのため、彼らが抱えている健康問題の現状を把握し、診療に役立てることが重要視されているのだ。

 

そこで、王立獣医科大学(RVC)は、2016年時点で大規模臨床データベースVetCompassに登録されている、且つ、動物病院で治療を受けた犬33万匹以上の診療記録を解析する研究を行った。すると、11000匹余りのシーズーが母集団(全体の約3.3%)に含まれており、以下に示す事項が明らかになったという。

◆シーズーが抱えている健康問題◆
・最も一般的な病気は歯周病であった(シーズー全体の9.5%)
・次いで肛門腺のトラブル(7.4%)、耳科疾患(5.5%)、外耳炎(4.7%)、嘔吐(4.4%)、臍ヘルニア(3.9%)が続いた
・短頭種よりも短頭種ではない品種が抱える健康問題に近似していた
・オスにより多く認められる健康問題は攻撃性、心雑音、皮膚病であった
・メスにより多く認められる健康問題は臍ヘルニアであった
・死亡年齢の平均は12.7歳であった(短頭種は8歳未満)
・最も一般的な死因は嘔吐や下痢などの消化器疾患、心臓病、QOLの低下であった(いずれも9.6%)

 

上記のことから、短頭種に属するシーズーが抱えている健康問題は短頭種のそれとは異なることが窺える。また、一般的な病気に挙げられている嘔吐が死因の最たるものになっていることも分かる。無論、心雑音(心臓病)も然りだ。よって、該当する症状を有する個体の診察では細心の注意を払い、シーズーを飼育する世帯には定期的な健康診断(X線検査、超音波検査を含む)を薦めることが望ましいと思われる。

短頭種でありながら気道症候群が健康問題として挙がらないシーズーの呼吸器を分析すると、短頭種気道症候群に関する新たな見解が得られるかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.rvc.ac.uk/vetcompass/news/new-research-highlights-surprisingly-good-health-characteristics-in-shih-tzu-dogs-in-the-uk


コメントする