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ペットオーナーと動物病院に対してコロナ禍が及ぼした影響に関する研究

投稿者:武井 昭紘

新型コロナウイルスの存在が明らかとなった2020年が終わり、新年を迎えた。そして、1月6日。東京都の感染者数は1500名を超え、全国では6000名の感染者が報告された。さらに、翌7日。一都三県に対して、緊急事態宣言が発出された。また、世界でも未だにパンデミックは続いており、近々で終息は望めない状況である。

 

そのような中、アメリカはノースカロライナ州に拠点を構えるコンサルティング会社Brakke Consultingが、ある調査を発表した。なお、その調査では、5月上旬、6月中旬、7月下旬〜8月上旬を第一波、第二波、第三波として、各期間ごとに1000名のペットオーナーに「コロナ禍で受けた影響」についてアンケートを依頼したという。すると、以下に示す事項が明らかになったとのことである。

◆ペットオーナーに対してコロナ禍が及ぼした影響◆
・オーナーの約20%が失業した(月を追うごとに減少)
・25%は収入が減少した
・月を追うごとに収入の回復が望めないと考えるオーナーが増えた
・約20%がより安いペットフードを選ぶようになった
・12%がペットに使う医薬品をより安いものに変えた
・予防薬をオンラインで小売業者から購入するオーナーが増えた
・その結果、動物病院のオンラインストアで購入するオーナーが減った
・約40%が第一波で動物病院の予約をキャンセルし、その割合は月を追うごとに減少した
・第三波の間で希望する時間に予約が取れたオーナーは23%に留まった
・約半数は予約自体が取れなかった
・16%のオーナーのホームドクターが閉鎖に陥った

 

上記のことから、パンデミックで苦しくなった各世帯の経済状態が、ペットへの支出を抑えていることが窺える。また、この時勢に合せて診察のシステムを変えた動物病院から離れてインターネットで予防薬を購入するオーナー、そのシステム変更で獣医療に手が届かなくなったオーナーが存在していることが分かる。

『新型コロナは、ヒトとヒトの繋がりを切るウイルスである。』

以前、このように表現したテレビのコメンテーターの言葉が、小動物臨床でも「現実」になっているのかも知れない。果たして、コロナ禍は、いつまで続くのか。動物病院とオーナーの繋がりが菲薄化する前に、終息してくれることを願うばかりである。

約70%のオーナーが今までと異なる診察(駐車場で待機または遠隔診療)を提案されており、ビデオチャットによる診察に満足したオーナーは40%に満たないことも分かっております。

 

参考ページ:

https://www.avma.org/javma-news/2020-12-15/brakke-finds-pet-owners-settle-long-haul-during-pandemic


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