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様々な犬種を対象にして糖尿病とMHC遺伝子の関連性を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

犬には、コッカー・スパニエルなど、糖尿病のリスクが高い品種というものが存在している。つまり、品種を決定する何らかの遺伝子が、糖尿病の発症に深く関わっていると考えられるのだ。しかし、その遺伝子の詳細(全容)は分かっておらず、獣医学が解明するべき課題となっている。

そのような背景の中、王立獣医科大学は、ヒトの1型糖尿病の発症に関与しているとされているMHC遺伝子に着目して、リスクの高い12品種を解析する研究を行った。なお、同研究には、①糖尿病に罹患した個体640匹以上、②糖尿病に罹患していない個体900匹以上が参加している。すると、コッカー・スパニエルおよびボーダー・テリアにおいて、当該疾患に関連しているMHC遺伝子(dog leucocyte antigen、DLA)が存在していることが判明したとのことである。

上記のことから、ヒトと同様、糖尿病を発症する「一部の」犬のMHC遺伝子には特徴があることが窺える。よって、今後、リスクを抱えた個体を用いた繁殖計画を見直して糖尿病の発症率を下げる研究が計画されるとともに、コッカー・スパニエルとボーダー・テリアを除いた高リスク品種の遺伝子解析が更に進められることに期待している。

本研究は、11月に設定されている啓蒙月間、Pet Diabetes Monthに合わせて発表されました。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7603736/


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