猫が呼吸器症状を呈していたら、読者の皆様は、どのような鑑別リストを作成するだろうか。
そして、そのリストに挙げられるウイルス性感染症とは、一体、何であろうか。
ヘルペスウイルス感染症。
カリシウイルス感染症。
直ちに思い浮かぶものは、この2つかも知れない。
イギリスのある動物病院で働く獣医師も、無論、そうであった。
しかし、彼がヘルペスウイルス感染症と診断した猫は、別のウイルスにも感染していたのだ—–。
2020年7月27日、発表を行った英国動植物衛生庁（Animal and Plant Health Agency、APHA）によると、冒頭の症例は、過去にCOVID-19を発症したオーナーが飼育している個体であることから、新型コロナウイルスの検査を実施したところ、陽性であったという。だが、幸いなことに、オーナーも猫もCOVID-19から完全に回復し、他者の病原体の伝播は起こらなかったとのことだ。
APHAは、述べる。
『これは、英国内で初めて発生した猫のCOVID-19である』と。
上記のことともに、世界がCOVID-19のパンデミックに陥っている状況や「動物の感染事例」を加味すると、猫の呼吸器疾患を診察する上で、新型コロナウイルスに感染している可能性を考慮する必要があるものと思われる。よって、今後、獣医療サービスをニューノーマル化するために、ペットのCOVID-19を診断する検査が商業化されていくことを願っている。
この事例を受けて、APHAは、『動物を触ったら手を洗いましょう』と呼び掛けております。COVID-19の感染拡大を防止するために、是非、実践して頂けますと幸いです。
参考ページ：
https://www.gov.uk/government/news/covid-19-confirmed-in-pet-cat-in-the-uk
