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Dogfishingというペット販売業の闇~インターネットが発展した現代が抱える社会問題~

投稿者:武井 昭紘

「Dogfishing」あるいは「ドッグフィッシング」とインターネットで検索すると、愛犬とともに魚釣りを楽しむペットライフの一瞬を捉えた様々な画像が優先的にヒットする。犬も、ヒトも、幸せ一杯な様子が窺え、筆者の顔も綻ぶほどに「なりより」だ。しかし、『現実は・・・』と言えば、このキーワードは、イギリス国内における犬の販売業の深い闇を表した言葉なのである—–。

保護犬のリホーム(里親募集)の促進と、それに必要な情報を発信する活動を行う慈善団体DogsTrustは、Dogfishingを以下のように定義している。

違法に英国内へと輸入した犬をオンライン上で愛犬家に売りつけること。

 

無論、ありとあらゆる物の購入(決済)をインターネットのみで完結できる現代社会において、ペットも同様にして買う(飼う)ことは、違和感を感じるヒトは居ても、技術的に不思議な(実現不可能な)ことではない。では、果たして、何が闇なのか。Dogfishingの被害に遭ったと思われるオーナー2000名以上を対象にしたアンケートの結果を下記に添えて、それが生み出す被害について考えていきたい。

◆Dogfishingの実態と被害状況◆
・半数以上の回答者は、複数回の子犬との面会を販売業者から断られている
・40%以上は、子犬と母親が一緒に居る所を見ることができていない
・約20%は、ブリーダーの自宅で子犬を見せてもらえない(駐車場や指定された待機場所で面会)
・8人に1人(13%)は、販売業者に嘘を付かれたと思っている
・25%以上の回答者が、購入から数週間以内に、子犬の健康や行動に関して不安を感じるようになった
・15%以上の回答者が、子犬の病気や問題行動の治療のために、平均500ユーロ(約6万円)の費用をかけていた
・治療の甲斐なく、亡くなった、または、安楽死となった子犬も居る
・音信不通になる販売業者も存在している

 

もし仮に、自分自身が子犬を購入して、Dogfishingのような悲劇に陥った場合、それを現実として、『ネットで買ったから仕方ない』と割り切れるだろうか。筆者は、その境地に至ることは無理だと断言できる。なぜならば、ヒトにも感情(愛情や悲しみ)があって、子犬にも感情・感覚(苦しみ)があるからだ。よって、対岸の火事だとは決して思わず、読者の一人ひとりが「便利な買い物」に潜む大きなリスクを真剣に考えて、子犬の購入先を慎重に検討して頂けると幸いである。

最近では、インターネットで購入したバーニーズ・マウンテン・ドッグが、飼育開始から3日でパルボウイルス感染症を発症して亡くなったという事例もあるようです。

 

参考ページ:

https://www.dogstrust.org.uk/news-events/news/2020/dogs-trust-reveals-the-cruel-dogfishing-scam-duping-thousands-of-uk-dog-lovers


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