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一つの家庭で多頭飼育を始めた際の猫の行動について調査した研究

投稿者:武井 昭紘

『一匹も二匹も同じ』
『お友達が多い方が良いかな』
『道端に捨てられて可哀想だった』

 

すでに猫を飼っている家庭で、新しく猫を増やしていく動機は、十人十色だと思う。しかし、理由は様々あれど、ほとんどの家庭が心配することの一つは、必ずと言って過言ではないほどに共通している。つまり、それは、『先住猫と新しい猫の相性は合うのか?』ということである。また、この疑問に伴って、『相性が合わないと判断できる猫の行動とは?』と、ふと疑問に感じる方も多いことであろう。

 

そのような背景の中、冒頭に記した心配事・疑問に答えるかのように、アメリカとフランスの動物病院らが、先住猫と新しい猫の険悪な雰囲気を察知する観察ポイントについて統計学的な研究を行った。なお、同研究では、2匹以上飼育している世帯2400件以上を対象にオンライン調査が実施されており、先住猫とは別に、新しい猫を迎え入れた時の猫たちの行動をデータ化している。すると、下段に示す事項が明らかになったとのことである。

◆新しい猫を迎え入れた時の猫たちの行動◆
・70%以上の世帯で猫たちに険悪な雰囲気が漂った
・猫の数が多いほど、その雰囲気が強くなる
・険悪さがケンカや争いに発展する兆候は以下の通りであった(半数近い世帯で①が起きていた)
①攻撃対象を凝視する
②行動対象の後を追って付き纏う
③逃げ出す
④尾の先端を小刻みに動かす(対象の存在が気になる合図)
⑤威嚇する声(シャーッ)を出す

 

上記のことから、先住猫または新しく加わった猫が他の猫を凝視する行動を続けている間は、お互いがお互いの存在に慣れるまで、猫同士の距離を物理的に離していた方が望ましいと考えられる。よって、『先住猫と新しい猫の相性は合うのか?』と相談された獣医師・動物看護師は、オーナーに「猫同士の距離を適正に保つ」対策についてアドバイスして頂けると幸いである。

①〜⑤のうち、最も頻度が少なかったのは、⑤威嚇する声(シャーッ)を出すだったとのことです。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/31623526/


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