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犬に与えるフードの量を計測する方法と正確性について分析した研究

投稿者:武井 昭紘

臨床現場でお話を伺っている限りと添えるが、愛犬にペットフードを与える量を決める手段は、飼育しているオーナーの経験、考え、知識によって、計測器を用いたり、カップ単位で認識したり、豪快に手掴みまたは袋から容器へ入れたりと、実に多種多様な印象を受ける。しかし、獣医学的に体重管理(特にダイエット)が必要な個体や食事管理が治療の一環となる症例においては、フードの給餌量に対して「厳密さ」を求められることも度々であり、それが結果(ダイエットまたは治療の成否)に大きな影響を及ぼすことは珍しくない。そこで、問題となってくるものがフードの計量なのだが、最も正確な方法について検証し、データとして明示した文献は非常に少ないのが現状である。

 

そのような背景の中、カナダのオンタリオ獣医科大学は、100世帯のオーナーと犬を対象にして、以下の3つの計量方法と正確性(電子グラムスケールで確認)についてデータを集積する研究を行った。

◆犬に与えるフードの計量方法◆
①ドライ食品を計量するカップ
②液体を計量するカップ
③シャベル型のカップ

なお、同大学によると、何れの方法でも、最少でマイナス47%、最大でプラス150%の誤差が生じることが確認でき、過小あるいは過大に計量されたフードが犬に給餌されるリスクが否定できないとのことで、本研究では、与えるフードの量を正確に計るためには、電子グラムスケールを用いることに勝るものはないという結論に達している。

 

上記のことから、現在、体重管理や食餌療法の効果に疑問符が付いてしまっている犬の診察を担当している獣医師は、フードの計量方法についてオーナーと打ち合わせをして、徹底的に見直すことを検討するべきであると考えられる。

今回紹介した研究をキッカケにして、食餌管理が改善し、愛犬のダイエットや治療が成功するオーナーが増えることに期待しております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31409751


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