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FeLVまたはFIVに感染した猫におけるインターフェロンαの有用性を検証した研究

投稿者:武井 昭紘

日本の小動物臨床におけるインターフェロンα(Interferon α、IFN-α)は、口腔内投与によって免疫賦活化作用、抗菌作用、抗炎症作用を発揮し、歯肉炎の症状を軽減するサイトカインの一種として知られている。また、in vitroにて、IFN-αは、ウイルスの感染性粒子の放出を抑制する効果も認められているという。

このような背景を基に、スペインのマドリード・コンプルテンセ大学は、FeLVまたはFIVに自然感染した猫における組み換え型ヒトインターフェロンαの有用性について検証を行った。なお、同検証では、①FeLV感染猫27例と②FIV感染猫31例に、1回60単位のIFN-αが隔週で4ヶ月間投与されており、罹患個体の臨床スコアおよびウイルスの活動状況(血液サンプルを用いて検査)が経時的に観察されている。そして、その結果、①②いずれでも抗原血症が軽快し、逆転写酵素の活性が低下することが判明するとともに、プロウイルス量の減少(②では軽微)が認められることが明らかになったとのことである。

上記のことから、IFN-αは、両ウイルス感染症に対する新たな治療法を開発する大きな鍵になると思われる。よって、今後、IFN-αの用法・用量に関するガイドラインが作成されつつ、①と②の相違点(IFN-α投与後のプロウイルス量の変動)についても解析が進み、IFN-αの作用・効果が今以上に深く理解されていくことに期待している。

今回紹介した研究では、約9割の症例が症候性であり、何らかの症状を呈していたとのことです。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31514435


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