小動物臨床におけるリンパ腫の治療は、発生部位や腫瘍塊の大きさなどによって、化学療法、放射線療法、外科手術、補助療法を組み合わせてスケジュールを立てることが一般的である。しかし、既存の手法の何れを適用したとしても、全ての症例が良好な経過を辿り、寛解に至るということはなく、今後、獣医療を更に発展させるためには、新たな治療法の開発によってリンパ腫の治療成績の向上を目指す必要があると考えられる。
そのような背景の中、イタリアの獣医科大学らは、リンパ腫に対する化学療法CHOPプロトコールと併用した自家癌ワクチン(APAVAC®)の有用性について検証を行った。なお、同検証では、300匹のB細胞性リンパ腫の犬を母集団にして、①CHOPのみを実施した群、②CHOPとワクチン療法を実施した群の生存率および生存日数における相違点が比較されており、①よりも②では、1年生存率が約2.5倍に増え、生存日数が約1.8倍に延長することが判明したとのことである。
上記のことから、化学療法とワクチン療法を併せた「化学免疫療法」は、犬のB細胞性リンパ腫に対する治療法として有用であると思われる。よって、将来的に、この化学免疫療法が、当該疾患を抱える愛犬のオーナーにとって、一つの選択肢となることを願うとともに、化学療法剤の減量を可能とするプロトコールの開発へと繋がることを期待している。
参考ページ:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31174615