ニュース

1歳齢未満の犬におけるノルベルグ角の変動について検証した研究

投稿者:武井 昭紘

この世に生を受けた動物(ヒトを含む)の多くは、生後間もなく幼少期・成長期を迎え、親とは異なる姿形,生態、食性を示しながら、「成長」していく。それは、小動物臨床で頻繁に遭遇する犬にも当て嵌まり、成犬とは、また違った、抜群の可愛らしさを魅せつけてくれることは、皆様に強く同意して頂けるところだと誠に勝手ながら推察している。更に、付け加えると、(成犬ではなく)幼犬のみに見られる特徴は他にもあり、成長板、乳歯、被毛の柔らかさ、腹部の膨らみなど、挙げれば切りがないことも事実であると思う。

これらを、獣医療の観点から見つめると、幼犬と成犬の診察には個々に適した知識が存在しており、全く同じ視点から両者を眺めることは出来ないと言い換えることができ、未だ把握さえ叶わない相違点があるならば、一つずつ解明していくことが大変重要であると考えられる。

そこで、フランス東部の都市リヨンに拠点を構える獣医科大学は、成長期を過ごす犬は成犬とは異なる骨格の特性を有するという概念のもと、幼犬のノルベルグ角の変化を示す指数(distraction Norberg angle index、DI)について、検証を行った。すると、4-12カ月齢の間で、DIには統計学的に有意なアップダウンを認めるとのことで、幼犬のノルベルグ角を計測する際には補正が「必要であることが示唆された。

上記のことから、近い将来、1歳齢未満の犬において、股関節のトラブルを診察する際に適応できる新たなノルベルグ角の参照値が、月齢別、種別、体重別など細かく設定されていくことを期待している。

デジタルレントゲンが普及している現在、撮影時に、子犬の品種や体格をX線検査装置に入力することでノルベルグ角を自動計算してくれシステムの開発は、需要が高いかも知れません。

 

参考ページ:


コメントする