アトピー性皮膚炎用減感作療法薬アレルミューンは、コナヒョウヒダニ 2(Der f 2)に対する免疫療法を実現し、文字通り犬のアトピー性皮膚炎に有効だとされて流通している薬剤である。そこで、疑問が浮かぶ。猫にもアトピー性皮膚炎は起こり得る。ならば、猫のそれにもアレルミューンは効くのだろうか。
冒頭のような背景の中、チューリッヒ大学は、アトピー性皮膚炎と診断された猫11匹にアレルミューンを投与し、彼らの経過を追跡する研究を行った。なお、同研究では、まず第一段階として毎週の薬剤投与を6週間継続し、以降は毎月の薬剤投与を3ヶ月続ける形式が採用されている。また、経過は治療開始前(0日目)、6週目、18週目(毎月の投与が終了した時)の地点にて、2つのスコアリングシステム(猫の皮膚炎を評価するFEDESI、オーナーが愛猫の痒みを評価するpVAS)で数値化されている。すると、6週目においてスコアは有意に改善することが判明したという。加えて、スコアが変化しなかった症例に比べて、スコアが改善した症例のアレルゲン特異的IgE検査の数値は有意に高いことも分かったとのことである。
上記のことから、アレルミューンには猫のアトピー性皮膚炎に利用できる可能性が秘められていると言える。よって、今後、アレルミューンが効く症例と効かない症例を判別する方法が考案され、且つ、本研究でスコアが改善しなかった症例に対するアレルミューンの用量・用法を見直す研究が進み、痒みから解放される猫とそのオーナーが増えることを期待している。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38073305/