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オーナーが獣医師に求めるコミュニケーションスキルを明らかにした研究

投稿者:武井 昭紘

小動物臨床における診療対象は、ヒト以外の動物であることは紛れもない事実なのだが、その診療または治療方針の内容を伝える相手はヒト(ペットオーナー)であり、獣医師とオーナーのコミュニケーションが成立して、初めて獣医療が提供できる環境が整うことになる。しかし、「十人十色」と四字熟語にある通りで、ヒトの性格、思想、理解度は一定ではなく、個々のオーナーに合わせたインフォームド・コンセントや表現方法を、獣医師は駆使する必要がある。

そこで、カンザス州立大学およびミッドウェスタン大学は、飼育しているペットの種類でオーナーを区分し、獣医師に求める最も優先すべきコミュニケーションスキルについて調査を行い、以下に示す結果を得ている。

◆獣医師に求められるコミュニケーションスキル◆
・犬のオーナー:オープンクエスチョン(自由回答ができる質問)
・猫のオーナー:共感(オーナーの言葉を第一声で否定せずに「そうですよね」と同調する)
・犬猫を一緒に飼うオーナー:オウム返し(オーナーの言葉を反復する)

このことから、飼っているペットに応じて、おおまかに、「好みのコミュニケーションスキル」が異なることが窺える。よって、今後、大型犬、小型犬、ウサギ、ハムスター、血統書付き、Mixなど、飼育動物別に細分類して、同様の研究を実施すれば、臨床現場で生じるコミュニケーションのズレ・行き違いを最少限に食い止めることができるのではないだろうか。

オーナーとの意思疎通がスムーズだと、高いレベルの獣医療を提供しやすくなると思いますので、是非、新人獣医師はコミュニケーションスキルを磨きに磨いていきましょう。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30285592


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