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アメリカで確認された猫のフィラリア症に起因する「世界初」の症状と治療法

投稿者:武井 昭紘

フィラリア症は、犬に限った感染症ではなく、猫も発症するリスクのある寄生虫性疾患である。また、犬の場合とは異なり、猫のフィラリア症は、臨床症状や血清学的検査で確定診断を下すことが困難であり、定期的な予防措置が非常に重要とされている。

上記のような猫のフィラリア症において、先月の初めに、「過去に報告されていない新しい症状」が確認されたとして、カリフォルニア大学がホームページ上に詳細を公開した。この新たな症状は、犬のフィラリア症でも稀であり、「フィラリア成虫の大腿動脈寄生に伴う血行障害」が原因となって発現するものである。本来、フィラリア症は心臓・肺動脈寄生が典型例とされており、全身の器官や組織に向かう動脈にフィラリア成虫が存在することは、非常に珍しい現象と言える。また、同大学によると、今回の猫のフィラリア感染症例(大腿動脈寄生)には外科手術が適応されたものの、術後経過が芳しくなければ、切断術(右後肢)を検討するとのことである。

このことから、フィラリア症によって断脚を迫られる猫に遭遇しないために、猫のフィラリア予防を啓蒙していくことは、日本を含めた世界各地の小動物臨床での課題の一つであると思われる。

猫の血栓症と診断された症例の中には、フィラリア成虫の動脈寄生という別の疾患が潜んでいるかも知れません。

猫の血栓症と診断された症例の中には、フィラリア成虫の動脈寄生という別の疾患が潜んでいるかも知れません。

 

参考ページ:

http://www.vetmed.ucdavis.edu/whatsnew/article.cfm?id=3884

(実際の手術風景の動画がありますので、リンク先への移動の際には、ご了承下さい。)


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