動物園には「においが気になる」という意見が寄せられる事があるそうで、入園ゲートに意見箱を設置している鹿児島市平川動物公園でも頻繁にこのような要望が届くそうです。
記事によると、同動物の園長に昨年4月から就任した福守朗さんは「においに対する意見箱の苦情って、実は割と多いんです。子供が書いたような他愛ないものもあれば、中には真剣に怒っている大人の方も居て、人間の感覚で動物を見ている人が少なくないんだなと感じます」と話します。
動物園には確かに「独特のにおい」があるけれど、不潔な環境で飼育しているからではなく、清潔にしていてもある程度は残る動物の体臭や、排泄物のにおいなのだそうです。私たちヒトは話したり読んだり、つまり聴覚や視覚に頼ったコミュニケーションを主にしています。一方で、匂いで情報を得たり、伝えたりする生き物も数多くいます。
例えばレッサーパンダはお尻を擦りつけるようにしてマーキングするし、ワオキツネザルは霊長類では珍しくにおいで情報伝達します。シカは繁殖期の秋になると特有のにおいを発するように。また同じ草食獣でもキリンとシマウマの匂いは異なりますし、同じ類人猿でもオランウータンとチンパンジーではやはり違うにおいがするそうです。
福守さんはブログで「動物園では見るだけではなく、『嗅ぐ』楽しみ方もあります。 臭いがするからイヤ、などと言わず感覚をフルに使い、動物たちの立場に立って理解してもらえたら嬉しいです。」と綴っています。
コロナ禍で営業が難しい中ですが、動物を飼育、展示するだけではなく、情報発信するのも動物園の役割だと考え、福守さんは月に1回程度、「園長のおはなし」として飼育員らに交じってブログを更新しています。
「難しい言葉を使わず、子供にも伝わるように噛み砕いて書くのは大変ですね」と苦笑しますが、今回の「動物園のにおい」についての記事は、大きな反響を呼んだようです。
https://maidonanews.jp/article/14347833
<2021/05/15 まいどなニュース>