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犬のアトピー治療への応用に期待~セラミド合成効果を発揮するニキビ治療薬~

投稿者:武井 昭紘

ヒトおよび犬のアトピーは、炎症や痒みなどの多様な症状を認める皮膚疾患であり、免疫機能の異常や皮膚バリア機構の破綻など、様々な要因が複雑に重なり合って発症しているとされている。上記のような要因の中には、「皮膚組織が有するセラミドの量が少ないこと」も含まれると考えられており、不足しているセラミドを補填できる治療法が確立されれば、アトピーに関連した症状を「軽減」することが期待できる。

そこで、アメリカのイェール大学は、体内でのセラミド合成に異常をきたすヒトの皮膚疾患において、「ある薬剤」による治療効果(セラミドの合成を促進できるか)について検証を行った。同研究には、セラミドの合成に関与する3-ケトジヒドロスフィンゴシンレダクターゼ(3-ketodihydrosphingosine reductase、KDSR)の遺伝子変異に伴う角質の代謝異常を認める疾患である進行性対側性紅斑性角皮症(progressive symmetric erythrokeratoderma)に罹患しているヒトが対象となり、ニキビ治療薬であるイソトレチノインの全身投与による治療が適用された。その結果、同薬剤は、進行性対側性紅斑性角皮症にみられる皮膚症状を改善することが明らかとなり、イソトレチノインがセラミド合成に関与することが示唆された。

今後、人医療における大規模な臨床研究および犬のアトピーにおけるイソトレチノイン療法の有用性を解析する研究が行われ、皮膚組織のセラミドが不足している疾患の治療法に選択肢が増えることを願っている。

今回の研究をキッカケとして、「セラミドが足りない」というアトピーの一因を解決できることになれば、セラミドを除外した状態で、他のアトピーを起こす要因を検証していくことができるようになると思います。

今回の研究をキッカケとして、「セラミドが足りない」というアトピーの一因を解決できることになれば、「セラミド不足に起因した皮膚症状」を除外した状態で、他のアトピーを起こす要因を検証していくことができるようになると思います。

 

参考ページ:

http://www.cell.com/ajhg/fulltext/S0002-9297(17)30190-8


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