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犬とヒトの唾液を構成する成分を解析したメタボロミクス

投稿者:武井 昭紘

唾液は、血液に代わる且つ非侵襲的な生化学検査用のサンプルとして注目を浴びている。故に、その一端を本サイトでも度々紹介してきた。それらを見るにつけ、筆者は、将来的に唾液を用いた健康診断なるものが発達を遂げることを密かに夢見ているのである。そのような中、また一つ、犬の唾液に関する研究が発表された。

なお、発表を行ったフィンランドの大学らによると、メタボローム解析によってヒトと犬の唾液を構成する代謝産物を比較したとのことだ。すると、200を超える代謝産物が検出され、犬特有の脂質化合物25種類とヒト特有のペプチド8種類も発見できたという。つまり、裏を返せば、多くの代謝産物が両者に共通しているということになる。

これを受け、大学らは、ヒトと犬の唾液を比べることで『犬の福祉を向上するためのバイオマーカーが見付かるだろう』と述べる。両者の唾液は似ているも、非なる部分を併せ持つ。この事実が、どのように獣医学を発展させ得るのか。今後の動向に注視しながら、冒頭に記した夢が叶うことを願いたいと思う。

唾液の研究が、唾液生化学検査のみならず、血液生化学検査にも新たな見解を齎すことを期待します。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32840693/


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