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NSAIDs投与後に起きる猫の腎不全の発生メカニズムを解明するための第一歩となる研究

投稿者:武井 昭紘

メロキシカムに代表される犬猫用の非ステロイド性消炎鎮痛剤(Non-Steroidal Anti- Inflammatory Drugs、NSAIDs)には、少なからず、腎不全という副作用が発現するリスクが存在していることが知られており、当該薬剤を長期的または反復して投与する際には、定期的に腎機能のチェックを実施することが望ましいとされている。しかし、「何故、NSAIDsを使用すると動物は腎不全になるのか?」について詳細なメカニズムを解明した報告は無く、腎不全を発症しないNSAIDsの適切な使用方法に関する議論は、未だ、尽くされていないのが現状である。

そのような背景の中、アメリカの大学ら(ワシントン州立大学、アイオワ州立大学)は、メロキシカム投与後の猫の腎臓にて起きている代謝変化に着目して、メタボロミクスおよびリピドミクス解析を行った。すると、生理食塩水を皮下に投与したコントロール群4匹に比べて、メロキシカム(0.3 mg/kg)を17日間皮下注射した群4匹では、腎皮質・髄質における脂質、アミノ酸、炭水化物、核酸、ビタミンなど様々な物質の代謝が変化していることが判明したとのことである。

上記のことから、今回紹介した研究データを基に、腎組織内の代謝変化に関与している酵素や遺伝子を探れば、NSAIDs投与に伴う腎不全の謎の一端が明らかになるのではないだろうか。よって、今後、母集団を大規模化しつつ、更なる研究が進められることに期待したい。

NSAIDs投与後に腎不全を発症した猫を対象にした同様の研究が行われると、また新たな発見に出逢えるのかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31190341


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