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胸部外傷を負った猫における退院の可能性を左右するファクターを探った研究

投稿者:武井 昭紘

オーナーの有無に関わらず、屋外で行動できる猫は、交通事故や落下などに伴って外傷を負うリスクが完全室内飼育の猫よりも高く、瀕死の重症に陥って動物病院に運ばれるケースも珍しくない。その中でも、胸部外傷は、心臓、肺、気管が収まっている場所の損傷となるため、救命処置で一命を取り留めたとしても、「無事に退院できるか」という点について予測することが非常に難しいという現状がある。

そこで、アメリカおよびカナダの大学らは、胸部外傷を負って入院した猫において、退院に漕ぎつけるための因子を探る研究を行った。なお、同研究では、動物用トリアージに用いるAnimal Trauma Triage(ATT)Scoreというスコアリングシステムで各症例の状態を評価しており、スコアが高いほど退院できる可能性が低下することが判明している。

上記のことから、ペットオーナーと今後の治療方針について話し合う時や少数精鋭の動物病院に複数の緊急症例が重なってしまった時のトリアージにATTスコアが有用であると思われる。

腹部に外傷を負った猫の予後とATTスコアの関連性も明らかになることを期待しております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30110218


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