日本の獣医科大学の講義・実習は、国家試験の合格を目指したカリキュラムで構成されており、必ずしも小動物臨床の実際に則した内容とはなっていない。
その一つの例として、獣医学歯科学が挙げられる。
この分野は、多くの大学で歯の解剖学および歯式に触れる程度であり、卒後に就職した動物病院にて歯周病や歯折(歯冠の損傷)症例の多さを体感した獣医師が、当該学問の奥深さに直面するという現状がある。
よって、今回は、ネット社会で大いに発展を遂げたSNSを介して、獣医歯科学をリアルタイムに近い形式で学ぶチャンスについて紹介したい。
今年1月から10月31日までの期間にて、カナダのオンタリオに拠点を置く世界小動物獣医師会(World Small Animal Veterinary Association、WSAVA)が歯科症例コンテストを開催しており、現在、Facebook、Twitter、Instagramにハッシュタグ(#wsavadentalguidelines)を添えて多くの症例の画像がアップされている。なお、応募条件はWSAVAの会員であることとのことで、SNS上の投稿をもってエントリーが完了する。また、同コンテストは、投稿に対してのコメントやリツートなどの反応がポイントとして算出されるとともに、社会貢献度(社会に役立つ情報発信)の可否が重視されるシステムとなっている。
以上のことから、SNSという仕組みを、情報の拡散スピードが速い現代社会に適合した世界的なeラーニングと捉え、歯科学に限らず、獣医学・獣医療「全般」でも積極的に活用することが、これからの動物医療をレベルアップさせる起爆剤となると考えられる。
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参考ハッシュタグ:#wsavadentalguidelines