小動物臨床におけるMRI検査は「麻酔下」で実施されることが前提で、麻酔処置に耐えられない症例に当該検査を適応することは非現実的である(生物学的に制限されている)という考えが、獣医療での主流となっている。しかし、視点を変えると、覚醒時の動物にMRI検査が応用できる手法が確立されれば、前述の制限は根底から覆すことができるはずである。
この視点に立った検証が、アメリカの大学らによって2012年よりスタートしており、Awake-MRI(覚醒時MRI検査)と呼ばれ、現在、MRI装置の中で犬が動かないようにするトレーニングが行われている。
そのような背景の中、トレーニング中の偶発的所見、つまり、Awake-MRIの成功例が認められたことが発表された。なお、同発表によると、鼻腔・脳・腹部の腫瘍性疾患および特発性てんかんの4件を検出できたとのことである。
加えて、大学らは、如何にしてMRI装置の音(約90デシベル以上)、振動、駆動時間を犬が凌げるようになるのかについてトレーニング法を体系化していく方針も表明しているため、再現性の高いガイドラインが作成された場合、MRI検査の適応症例が大幅に増加する可能性が期待できるのではないだろうか。
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