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犬ジステンパーウイルスに対するワクチンの有効性を再評価した疫学的研究

投稿者:武井 昭紘

犬のジステンパーウイルス(Canine distemper virus、CDV)は、ワクチネーションプログラムの主軸の一つとして考えられる程に重要度の高い病原体であり、弱毒生ワクチンによる予防医療が推奨されている。しかし、ワクチンを接種した個体におけるCDV感染症の報告が上がっており、実態の解明が望まれている。

そこで、ジョージア大学およびテネシー大学は、①ワクチン株と②米国内で流行している野生株の抗原性の相違点に関する解析を行った。すると、①②のエピトープが、両者で異なっていることが明らかとなり、①の抗原を接種して犬に免疫力を付加したとしても、②に効かないことが示唆される結果が得られたとのことである。

上記のことから、②を基にした新たなCDVワクチンの開発が必要であると思われれる(アメリカでは少なくとも3種類以上の株が存在している)。また、世界各地で同様の調査を行い、既存のワクチンの有効性を「地域ごとに」再評価していくことが望ましいのではないだろうか。

個人の転居またはビジネスに伴う犬の輸出入にも、本研究の事実は影響を及ぼすため、日本の野外株とワクチン株の抗原性に関する再評価が進むことを願っております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29778189


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