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犬の神経系疾患の再生医療に新たな選択肢をもたらす胎盤由来細胞

投稿者:武井 昭紘

犬の神経疾患(脊髄損傷、変性性脊髄症など)の中には、現行の治療法では完治することが困難なものが含まれており、多角的な視点から研究を進めることで治療の幅(ペットオーナーに提案できる選択肢)を増やすことが課題であると言える。

そこで、カリフォルニア大学に属する生物工学および獣医学の研究所は、人医療における胎盤幹細胞を用いた再生医療に着目して、犬の胎盤からPlacental mesenchymal stromal cells(PMSCs)と呼ばれる細胞の単離および機能解析に関する研究を行った。すると、今回の研究で得られた犬のPMSCs(Canine PMSCs、cPMSCs)は、再生医療で汎用される間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cell、MSC)の特徴を有しており、 MSCを星状膠細胞へと分化させるIL-6や血管内皮増殖因子(VEGF)などを分泌することが確認された。さらに、cPMSCsを神経系培養細胞であるSH-SY5Y細胞と共培養すると、神経ネットワークの形成を促進することも明らかとなっている。

今後、cPMSCsの臨床研究が実施されて、犬の神経系疾患を治癒させる手法として確立されることに期待したい。

犬の神経系疾患に対するcPMSCsの有用性を検証するとともに、cPMSCsの継代や保存方法について研究が進むことを願っております。

犬の神経系疾患に対するcPMSCsの有用性の検証を行うと同時に、cPMSCsの継代や保存方法について研究が進むことを願っております。

 

参考ページ:

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/cyto.a.23171/full


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