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和歌山県 不妊去勢手術に特化した「繁殖予防」動物病院が開院

投稿者:AsaT

和歌山県上富田町朝来に「スペイベッツジャパン犬猫繁殖予防病院」が、過剰繁殖で生まれてくる不幸な野良猫を減らそうと、不妊去勢手術に特化した動物病院を9月にオープンした。

記事によると、オープンした病院は「スペイクリニック」と呼ばれる施設で、紀南地方では初の開設。これを機に、地元の愛護団体も野良猫に不妊去勢手術をして地域に戻す「TNR活動」を加速しようと、一斉手術プロジェクトに取り組んでいるという。

「スペイベッツジャパン」(大阪府八尾市)は、犬猫の不妊去勢手術を推進する全国の獣医師約30人でつくる一般社団法人で、過剰繁殖に起因する犬猫の過酷な境遇や殺処分などの不幸な死、ふん尿や鳴き声といった社会問題の解決を目指している。

橋本恵莉子代表(41)は「殺処分数は減少しているが、事故や餓死、病気など野外で死んだ猫は殺処分数の10倍と推計する調査もある。飼い主のいない犬猫をなくしたい」と話す。

また、過去の被災地では野放しになったペットから過剰繁殖が発生しており、その予防的観点からも、近い将来に南海トラフ巨大地震の発生が予想される紀南を選んだという。

開院は毎週木曜。犬も扱うが、猫を中心に据えている。手術費は猫の雄雌とも5500円、生後5カ月までなら4400円と一般の動物病院より大幅な安価に設定した。一般的に手術は生後6カ月からとの考えが国内では主流とされるが、法人によると生後4、5カ月でも妊娠することが分かっており、早期手術を強く推進している。

病院の開設期間を5年に限っており、1年目の目標は1000匹。9、10月で256匹の手術を行った。最終的に周辺自治体の飼い猫、野良猫の7割が手術済みの状態になることを目指す。橋本代表は「需要の大きさを感じている。手術を普及させ、全国のモデルケースになるようにしたい」と言葉に力を込めた。

開院に当たり、上富田町の動物愛護団体「ワンライフ」が開設場所や補助スタッフの提供、広報活動などの支援をしている。更に今夏には不妊去勢の一斉手術のプロジェクトを掲げてクラウドファンディングを行い、目標を上回る約250万円を集めた。

地区を決めて野良猫400匹の手術費の半額を補助し、集中的にTNRを進める計画だ。苦情の減少などの成果を上げ、自治体へ手術費の助成制度の設置を求めていくという。島田香代表(53)は「殺処分をゼロにしたい。人と猫が共存できる地域をつくるための大きなチャンス」と意気込んでいる。

県は2016年度から「不幸な猫をなくすプロジェクト」を開始し、野良猫の世話をしている人たちに対し、認定を受けた場合は不妊去勢手術費を助成したり、ボランティアと協力して保健所などに収容された猫の譲渡を推進したりしている。

22年度の県内の収容数は1074匹、殺処分数(収容後の病気などでの自然死を含む)は398匹で、プロジェクト前の15年度比で58%減、84%減と一定の成果を上げている。ただ、収容数の8割近くが生後90日以内の所有者不明の猫で、不妊去勢手術などの対策が必要な地域がまだ数多くあるとしている。

「貯金を取り崩して活動しているが、いつまで続けられるのか……」。TNRに取り組む白浜町の動物愛護団体「キャットラバーズクラブ」の岡畑和栄さん(53)は切実な思いを語る。

地域住民から相談を受け、ここ1年半で約50匹のTNRを手掛けた。地域で不妊去勢手術費を出してくれる場合もあるが、大半は団体メンバーで負担。更に紀南は動物病院が少なく、手術の予約を取るのが難しいため、和歌山市内のスペイクリニックを使っていたが、交通費がかさみ、移動による猫へのストレスも大きい。「紀南で開設してくれて本当に助かります」と喜ぶ。

 病院の予約や問い合わせは、電話(080・7471・7566、午前9時~午後6時)や同法人のホームページで。


https://mainichi.jp/articles/20231112/k00/00m/040/035000c

<2023/11/12 毎日新聞>

和歌山県 不妊去勢手術に特化した「繁殖予防」動物病院が開院(写真と記事は関係ありません)

 


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