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耳のトラブルを患うウサギの特徴と彼らの生活の質を考えた研究

投稿者:武井 昭紘

あらゆる動物種の中でとりわけ大きいことが理由とは言えないかも知れないが、ウサギには耳のトラブルが多いとされている。そのため、このトラブルを抱えやすいウサギの特徴を把握することは重要と考えられているのだ。

 

冒頭のような背景の中、王立獣医科大学(Royal Veterinary College、RVC)は、イギリスでウサギを飼育するオーナーにオンラインアンケートを依頼し、彼らの耳のトラブルに関する情報を集積する研究を行った。すると、550件以上のデータが集まり、以下に示す事項が明らかになったという。

◆耳のトラブルを患うウサギの特徴◆
・約29%のウサギが耳のトラブルを経験していた
・約21%が獣医師によってトラブルを指摘されていた
・垂れ耳(ロップイヤー)のウサギの25%がトラブルを指摘されていた
・対して立ち耳のウサギでは10%に留まった
・垂れ耳(片側の耳のみ垂れている個体を含む)と高齢のウサギでトラブル発生リスクが有意に高かった
・最も一般的なトラブルは中耳炎、過剰な耳垢であった
・耳に痛み(母集団の7%)を感じているウサギの生活の質はオーナーの印象で有意に低下していた
・耳のトラブルを抱えているウサギは抱えていないウサギに比べて音への反応が鈍かった(オッズ3倍)
・また喜びの感情に伴うジャンプ行動が少なかった(オッズ3倍)

 

上記のことから、前述の通り、ウサギにおいて耳のトラブルは良くみられることが窺える。加えて、垂れ耳や高齢など、トラブルを抱えやすいウサギの特徴があることも分かる。よって、条件に該当するウサギのオーナーには定期的な健康診断を薦めることが望ましいと思われる。また、生活の質が低下した、あるいは、ジャンプが少ないウサギの診察では、耳科疾患を鑑別リストに追加することが大切だと言える。

垂れ耳のウサギは聴覚障害や難聴になるリスクが19倍高く、生活の質が低下するリスクが5.5倍高いとのことです。

 

参考ページ:

https://journals.plos.org/plosone/article/authors?id=10.1371/journal.pone.0285372


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