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急性出血性下痢症候群の犬に適応されたプロバイオティクスと糞便移植の効果

投稿者:武井 昭紘

犬の急性出血性下痢症候群(acute hemorrhagic diarrhea syndrome、AHDS)は、下血というインパクトの強い消化器症状もさることながら、細菌感染を起こし敗血症に陥るリスクも孕んだ重い病気であることが知られている。一方、話は変わるが、プロバイオティクスや糞便移植(fecal microbiota transplants、FMT)は、腸内細菌叢を整えて様々な疾患を予防し治療する有効な手段とされているのだ。つまり、これらの治療法はAHDSにも効くと考えられるのである。

冒頭のような背景の中、カンザス州立大学は、AHDSと診断されて入院加療となった犬18匹を対象にして、プロバイオティクスとFMTの効果を検証する研究を行った。なお、同研究では、犬を①プロバイオティクス群と②FMT群の2つのグループに分け、①にはプロバイオティクス(経口でカプセルを投与、q24hで14日間)とFMTではない通常の浣腸を、②にはFMT(単回)とプラセボのカプセルを経口投与する形式が採用されている。すると、両群に差異はなく、糞便スコアと重症度に相関するように、血清中のリポ多糖が減少することが判明したという。

上記のことから、プロバイオティクスおよび糞便移植はいずれもAHDSに効果があると言える。よって、今後、両治療法のプロトコル、および、それぞれの治療法を適応する症例の判別法を確立する研究が進み、AHDSならびに敗血症で苦しむ犬が1匹でも減っていくことに期待している。

治療開始から3日目には、リポ多糖の減少が確認されたとのことです。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2023.1050538/full


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