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腎臓や尿管に結石が発生しやすい猫の特徴を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

1999年、イギリスは王立獣医科大学(RVC)を訪れた、腎臓や尿管に結石が発生した猫の割合は全症例の0.68%であったという。しかし、その割合は増加し、近々の10年は4.6%を占めるとのことだ。そのため、同大学は、この現状に危機感を抱いている。彼らに多い結石はシュウ酸Ca。食餌療法や内服薬で溶解することができず、結石の形成を防ぐ有効な手段は無い。また、ひと度、結石が詰まり尿管が閉塞すれば猫は命の危機に瀕し、助ける手立てが外科手術のみ。そうであるにも関わらず、当該疾患の発生頻度を調べた研究が少ないと。果たして、腎臓や尿管に結石が発生しやすい猫の特徴とは一体、何であろうか。

 

冒頭のような背景の中、RVCは、大規模臨床データベースVetCompassに登録された猫11000万匹以上の診療記録を解析する研究を行った。すると、520件以上の症例が見付かり、以下に示す事項が明らかになったという。

◆腎臓や尿管に結石が発生しやすい猫の特徴◆
・混血種と比較して5品種で当該疾患と診断される可能性が高かった
・それはブリティッシュショートヘア、バーミーズ、ペルシャ、ラグドール、トンキニーズであった
・混血種の大部分は短毛種が占めていた
・結石が発生するリスクファクターはメスであること、4~8歳齢であること、前述の5品種であることであった
・結石によって尿管が閉塞するリスクファクターは腎臓に結石があること、年齢が若いことであった

 

これらの結果を受け、同大学は、『12歳齢未満の猫のBUNが上昇している場合は尿管閉塞を疑うべきだ』と述べる。また、その場合は、腹部画像診断を積極的に実施するべきだと訴える。皆様が診察を担当する猫の中に、若くしてBUNが高い症例は居るだろうか。そして、そういった症例の何%で尿管閉塞を鑑別リストに入れているだろうか。もしも、尿管閉塞が頭に無かったというのであれば、腹部のX線検査および超音波検査を検討してみても良いかも知れない。

4歳齢以上の猫の健康診断には腹部画像診断を盛り込むことをお薦め致します。

 

参考ページ:

https://www.rvc.ac.uk/vetcompass/news/rvc-research-finds-cat-breeds-at-highest-risk-of-kidney-stones


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