ニュース

ポルトガル原産の犬種におけるMDR1遺伝子の変異を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

MDR1遺伝子の変異は、コリーやシェルティーなど牧羊犬に発生していることが知られており、フィラリア予防薬の代表格アベルメクチン系による中毒のリスクを上げる原因とされている。そのため、この変異の発生状況を把握することは重要だと考えられているのだ。しかし、ポルトガル原産の犬種では、その状況に関する情報が乏しいという。

そこで、ポルトガルの首都リスボンの大学および研究所らは、①ポルトガル原産の犬種(2品種)、②同国原産ではなくMDR1遺伝子の変異が確認されている犬種、③それ以外の犬種を対象にして、遺伝子学的な解析をする研究を行った。すると、①に属する33匹、②に属する55匹、③に属する17匹のデータが集積され、①に属するバルバド・ダ・テルセイラという犬種と②において変異の存在が確認されたとのことである。

上記のことから、①にもMDR1遺伝子の変異が潜んでいることが窺える。よって、安全なフィラリア予防を実現するべく、バルバド・ダ・テルセイラの繁殖計画の見直しが進むことに期待している。

本研究では、①に属するカオ・ダ・セラ・デ・アイレスには変異は認められませんでしたが、大学らは母集団の大きさを考慮して、『その存在を完全に否定できたわけではない』と述べています。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2022.990884/full


コメントする