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犬のインスリノーマを遺伝子学的に解析する研究に携わる獣医師の募集

投稿者:武井 昭紘

インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が腫瘍化したインスリノーマは、ヒトでも犬でも一般的な内分泌の腫瘍である。しかし、これを治療する方法となると外科手術が第一に挙げられ、他に有効とされるものが乏しいの現状である(化学療法によって低血糖発作が良好にコントロールされる症例は存在している)。そのため、当該疾患の生存率は低いと言われている。では如何にして、その低い生存率を向上させるか。それが大きな課題なのだ。

冒頭のような背景の中、イギリスの王立獣医科大学(Royal Veterinary College、RVC)は、インスリノーマの治療におけるターゲットと、予後を判定するマーカーを特定するために、同腫瘍を遺伝子学的に解析する研究をスタートすることを発表した。なお、本研究では、ヒトおよび犬の培養細胞(インスリノーマ由来)と外科的に切除された犬のインスリノーマの組織が対象となっている。

現在、RVCは研究を遂行するべく、研究者(基礎研究に従事する者あるいは獣医師)を募集している。条件は、犬の腫瘍学、そして遺伝子学に強い関心を持っている人物であるとのこと。面接を経て、着任(RVCに学生として所属)するのは今年の10月だという。果たして、この研究からインスリノーマに対する新しい治療法・予後判定法は誕生するのか。今後の動向に注視したい。

選出された研究者には3年間分の受講料と奨学金が授与されるとのことです。

 

参考ページ:

https://www.rvc.ac.uk/study/postgraduate/phd/studentships/identification-of-novel-druggable-targets-in-canine-insulinoma-through-single-cell-transcriptomic-analysis


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