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緊急処置を要する高血圧症に陥った犬猫の診療データを解析した研究

投稿者:武井 昭紘

緊急処置を要する高血圧症(hypertensive emergency)に陥ったヒトは、脳、肺、心臓、大動脈、腎臓などに障害が起き、時に致死的経過を辿るとされている。一方、hypertensive emergencyとなった犬猫の診療データは限られているの現状である。

 

冒頭のような背景の中、王立獣医科大学(Royal Veterinary College、RVC)は、血圧が180mmHgを超えている犬猫の救急疾患15件のデータを解析する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆hypertensive emergencyに陥った犬猫の診療データ◆
・年齢は中央値で9歳齢(1~15歳齢)であった
・hypertensive emergencyに陥る前の臨床症状は中央値で1.5日(1~15日)続いていた
・初診時の血圧は中央値で230mmHgであった
・9例が発作、5例が失明、4例が意識障害を呈していた
・10例に第一選択薬としてアムロジピンが投与されていた
・最も一般的な病因は急性腎不全であった(9例)
・生存率は約53%であった

 

上記のことから、hypertensive emergencyの主因は急性腎不全であり、症例の半数近くが亡くなってしまうことが窺える。よって、今後、急性腎不全を発症した理由と、生存率を高める方法を追求する研究が進み、犬猫のhypertensive emergencyの治療法と予防法が確立されることを願っている。

hypertensive emergencyの病因は他に、特発性の高血圧(3例)、甲状腺機能亢進症(1例)、リンパ腫(1例)、アラバマロット(1例)であったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35811381/


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